漆器の修理

皆さんこんにちは。
蒸し暑くなってきて、漆のかわきも一段と速くなってきました。
今日は最近修理依頼も増えているので、6年ぐらい前に山形のお蕎麦屋さんの
吉里吉里さんに納めた器の修理の様子を掲載します。
ふち周りの艶がおちてきていたので、艶上げをしてほしい依頼です。
作業まえの様子。ケヤキ木地の刳り貫きモノですよ。
内側とふちが艶の色具合が違うと思います。

このように回転轆轤で拭き漆をします。

写真は2回拭き漆をして水研ぎした品物。もう全体がツヤツヤなのが
わかります。最後にもう一回拭き漆をして完成です。

こちらはふちの割れがヒドイ品物を、糊漆と麻布でがっちり補強している
ところ。
この特注のカタチは、ふちが出ているのでどうしてもぶつかりやすいの
ですが、デザインを気に入って頂いてるので、フォルムを崩さないよう
にオシャレに補強。

この布目で仕上げていく予定で、2回拭き漆をしたところ。
黒麻布目と木目がシャレてます。手前は内側もひどく割れていたので、
がっちり補強しました。3個ほどこのような仕上げにしました。
吉里吉里さんでこの布目仕上げでお蕎麦を盛られた方はアタリですね~(笑)

高台も補強。

修理の品、塗りをお願いしているお椀等、品物がかなり入っています。
塗り担当職人さんは様々な修理品の修理方法を説明しながらお願いして
ますし、上塗りも段々と上手になっています。


絵をつける以外、色々な状況に対応できるように教えています。
色々なパターンを知るには、数をこなして実践あるのみですからね。
ちなみに修理費用ですが、拭き漆の艶上げですと、2000円(税別)+送料
位を見ていてください。
今回のように20個とか数があれば作業効率がいいのでもう少し安くなり
ますが。
布張り拭き漆は5000円(税別)+送料位ぐらいみててください。
塗りたて、ふちの割れの部分修理等もただ今やっているので、また今度
のせたいと思います。
修理は壊れている状況が1個1個違うこと、1個1個違う仕上げ方で
塗らないといけないので、どうしても安くはできません。
期間は半年から1年ぐらいを見ていただいています。
簡単な修理であればもう少し早いですが。
注文状況で修理優先ではできない状況と、割れなどの修理の場合、急ぎで
出すと中まで乾いてなくて、再度割れが発生したりしてクレームになるので、
キズを埋めてから2か月ぐらいはほっといて枯らしていたりします。
今後できるだけ色々なパターンに対応できる職人さんを何人か育てたいので、
ある程度の適正価格で対応させていただいています。
価格面も大切ですがまずは、また長く使えるように丈夫に直したいおもいです。
しっかりとした知識と技術・経験あってこそだと思いますので、ご理解いた
だけるとありがたいです。
それではまたまた。

投稿者プロフィール

翁知屋 5代目 佐々木 優弥
翁知屋 5代目 佐々木 優弥
昭和53年6月17日生まれ
岩手県平泉町にて伝統工芸「秀衡塗」の製造販売。
天皇皇后両陛下の御用食器一式や皇太子殿下献上品、伊勢志摩サミットG7各国首脳の贈呈品に採用、国内外のデザイナーとの創作品も手掛けグッドデザイン賞も獲得するなど高い評価を受けている。