翁知屋店先改装と五角・八角箸まもなく完成

皆さんこんにちは。いい天気が続いております。
この時期が一番過ごしやすくていいですね。
漆を上塗りするのもこの時期が一番いいです。
今日は翁知屋の店先をすこし改装しました。
まずは丸貞工務の哲也さんに、車椅子・足の悪い方用のスロープ
を木で作ってもらって、平泉町からもらった旅案内の看板を取り付けて
もらいました。
それから緑のシートを千葉インテリアの直樹さんに頼んで
貼りかえてもらいました。どちらもいつも平泉町商工会青年部で
お世話になっている方々です。
店先の様子。

お店の中には平泉町が発行しているパンフレットを置きました。
外国人観光客が増えているので英語版も用意しております。

こちらは現在製作している五角と八角のお箸です。
どちらも100膳製作しておりまして、黒と朱の拭き漆で仕上げて
おります。現在箸のあたまをカットしているところです。

ちなみに各10膳ずつですが、前からお客様より要望が多かった
子供用のお箸も短めにカットして製作しました。

こちらは溜塗りのお箸です。透き通るような美しさがあります。
こちらも100膳製作しております。

こちらは先月、大人の休日倶楽部で紹介いただいた
<秀衡宝相華唐草文様万年筆>です。
けっこう反響があり、ただいま製作中です。

最後は蕎麦盛器を溜と朱に塗ってみました。また雰囲気が変わり
重ねた時が面白いです。

上塗りをするのにいい時期がきました。
なるべく埃や刷毛目が出ないように、技術を磨いていきたい
と思います。
ただお客様にお願いしたいことがありまして、虫眼鏡で細かくみて、
ここに小さい埃があるとご指摘される場合があります。
工芸品は、美術品や工業製品を製作しているわけでなくて、
生活の中で使われるものを、手作りでできる限り長持ちするように
製作しております。
あまりに極端な要望は、生活の中で使えるような工芸品を製作する職人さんがいなくなり、何百万もする値段をつけて美術品を製作するような作家さんだけになったり、時間短縮や均一の商品製作をするのに、漆を科学塗料で薄め、コンプレッサーでスプレー塗装する工業化が始まったりして、本来の手作りをする職人のもつ伝統的な技や道具・志が失われてしまうことも現状ではあるのです。
塗装技術の進歩といえなくもないですが、下地のやり方や古典的な道具
が変わって、古いものの修理の仕事などもできない職人がでてきます。
手作りで製作している限り、多少の欠点もあると思います。
ただそれが逆に、品物から漂うオーラのような味わいをうんだり、
やさしさや温かさを感じたりするんだと思います。
それが民芸品だと思うのです。
手抜きをして、あまりに問題がある品物は当然ダメですが…。
亡くなった父が、毎回今より下手な上塗りをした私に言った言葉は、
「心をこめて塗った?それだったらいいんだ、お店で売るよ」
といってくれてました。
落ち込む私を慰めてくれたのかもしれませんが、その言葉で救われて
勇気をもらって、次回は今よりもう少し注意しようと思ったものです。
それは今でも、次回は今よりもうまく塗ろうと思います。
今後も日々技術を磨いていくことに変わりがありませんが、
心が失われないように取り組んでいこうと思っています。
ご理解いただければありがたく思います。
それではまたまた。

投稿者プロフィール

翁知屋 5代目 佐々木 優弥
翁知屋 5代目 佐々木 優弥
昭和53年6月17日生まれ
岩手県平泉町にて伝統工芸「秀衡塗」の製造販売。
天皇皇后両陛下の御用食器一式や皇太子殿下献上品、伊勢志摩サミットG7各国首脳の贈呈品に採用、国内外のデザイナーとの創作品も手掛けグッドデザイン賞も獲得するなど高い評価を受けている。